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アルマスギャラリーの方からのfollowで知った大槻素子の展覧会。
大槻素子の絵画では、日常的な風景や食べ物が特有の視線で描かれています。特に、これまで多数描かれてきたケーキをモチーフとした作品では、祝祭感の裏にある感情のズレや違和感を暴くようなハードな側面も備えていました。
今回の展示では、従来よりも明度を増したグレートーンの色彩の中で大槻特有の、霞むような漠然とした筆致で食べ物が描かれます。巧妙にピントがはぐらかされ、記憶の残滓や過ぎ去る残像を思わせる作品と対峙するうちに、 作品からのイメージと鑑賞者の遠い記憶とがないまぜになり、誰のものでもない情景が浮かび上がる感覚に陥ります。とらえどころのない空虚感はどこか心地よく、現代を生きる私たちの心をとらえます。
やさしげな色彩に彩られた食べ物たちの、隠し味はいかに。是非ご来場の上、ご賞味いただければ幸いです。
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